僕たちが座ったのは、カウンター席の一番はじっこ。それもお客さんが多かったから、角に椅子を持ってきて座った。だから、いま僕が右斜め前をちょっと見ると、清八の横顔が見えるんだ。
ぼんやりしてるわけじゃないんだけど、何処か遠くを見てるみたい。清八がこんな眼をしてる時はいっつも思う、『この人は何処から来たんだろう』。
知ってるはずなんだよ、ずっと一緒にいるんだから。それでも、毎回考える。清八は、何処から来たんだろう。そして、
───何処に行っちゃうんだろう。
僕が入りたいって言ったから清八が付き合ってくれたのに、当人が頼んだものを食べるのも忘れてそんなことを考えていたら、いつのまにか清八がこっちを向いていた。
「どうしたんですか? 具合でも…?」
さっきは一応ポテトをくわえてたんだけど、今はそんなのどうでも良いみたいにほっぽって、すごく心配そうに僕を見てる。ホントは、僕が(勝手に)清八を心配してたんだけど。そんなに難しい顔してたかな。
「大丈夫だよ、ごめんね清八」
「…無理は、しないで下さいね。病み上がりなんですから」
ちょっとだけ眉を寄せて、清八が微笑んだ。
…ああどうしよう、すっごいかっこいい。
清八が笑ってくれるんなら、怪我なんていくらでも治してみせるのに。ってまあ…心意気は、だけどさ。世の中そう上手くは行かないんだけど。
「せっかく街まで来たんですから、ここを出たらどこか買い物に行きましょうか」
「…うん、そうだね」
買い物は、すっごく行きたい。ていうか、清八とこうやって二人で出掛けられるなんて貴重過ぎて、何処に行くんでも良いんだけど。
それなのになんだかその気の無さそうな返事になっちゃったのは、…ええとその。
「…本当に大丈夫ですか? あ、買い物が嫌だったら言って下さいね?」
「あ、ち、違うの! 大丈夫!」
…だからそんなに顔近付けないで…
さっきからずっと清八のことを考えてたら、本人をまともに見られなくなっちゃったんです。
動悸は速いし、顔は熱いし、どうしよう。ちょっとだけ上目使いに清八の表情を伺ったら、さっきの顔に負けず劣らず不安そうな顔してた。
「───ごめん、僕ちょっと」
なんかもう居ても立ってもいられなくなって、席を立つ。清八が慌てて僕を呼ぶけど、具合悪いわけじゃないしすぐ戻るからって、荷物を押し付けてからトイレまでダッシュ。
広くて人もいない綺麗なトイレに駆け込んで鍵を閉めて、そのままずるずる座り込む。
「…危なかったよーぅ…」
あのまま近くに居たら、言っちゃうとこだった。
「───だいすき」
好き、すっごい好き、好き好き好き、大好き。
町中のこんなお店で言うことじゃないんだけど、顔を見てたらそれしか浮かばなくなっちゃった。
来ちゃ駄目だよ、清八。今は絶対、来ちゃ駄目。
今お前を見たら、僕、きっと変な人になっちゃうから。
もうちょっとだけ待っててね、清八。すぐに戻るから、そしたら買い物に行こう。
だから、どっか行かないでね。
───そこにいてね、清八。
これ夢だったんですけど、
起きたとき超幸せだった(そりゃそうでしょうとも)
途中私にも意味不明なナレーションがたまに入ってますが、まあ『だって夢だし』を免罪符に掲げつつ夢に忠実な文章を起こした結果です。自分の夢だけど、清団は現代パロも良いですな…!
団蔵が私の心の叫びを代行してくれました(笑)清八大好き!