ちろるちょこ♥大作戦! ―――Missions2  side:水野竜也


待ち合わせ場所は、公園のブランコ。シゲが言うには、「待ってる時間暇やし」らしい。 公園に近づくたびに、興奮なのか緊張なのかよくわからない感情が渦巻く。焦りにも似ているような気もする。

「(あぁああ〜……先立つ不幸をお許しください?え?何いってんの俺?なんか、なんか変だ!)」

頭がパンクしそうだ!
だんだんと、公園へ向かう足取りがゆっくりになってゆく。だんだんと待ち合わせの時間が近づく。歩く速度がどんどん落ちて歩道の真ん中で足が止まる。
どうしよう、という緊張をこして、今度は泣きたくなってきた。余裕のない自分をあまりシゲの前で出したくない。
「(目、赤くなるし、感づかれたくないし…泣きたくない…)」
緊張はまだしてる。それで余裕がないと自分で解るから、それをコントロールできない自分に苛立ちつつも悲しくなる。
こんなときいつも思う。


こんな関係じゃなかったら、俺は普通に接しているはずなのに。


ふうと、自分を落ち着かせる溜息を吐くと、目尻をこする。気付かないうちに少し濡れていた。
大丈夫大丈夫と自分に言い聞かせ、もう一度公園へと歩みだす。



ミッション2:話しかける(自然!尚且つ元気に)


自分が送ったメールを確認して、頭の中で反復する。
自然に、だ。自然に軽く笑って、「今日どこいく?」と普通のテンションで、普通の声で問うのだ。

そう、頑張れ竜也!俺ならできる。
そうさ、才色兼備の俺ならば多少の演技ぐらいどうにでもできる!

公園に入ろうと、公園の入り口を入るとぴたりと足が止まる。
シゲはもうすでに来ていた。大きく揺れているブランコから飛び降り俺に近寄ってくる。
入り口から一直線の位置にブランコはある。そして、ブランコの隣にはベンチがあり、その隣にはゴミ箱がある。
問題はそのゴミ箱だ。
いつも、と言っても頻繁に来ているわけじゃないがここの公園のゴミ箱はいつも殆どすっからかんなのに、今日に限ってそのゴミ箱が半分埋まるほどの舗装された箱が捨てられている。
もしかしてシゲが?
俺もシゲに近づき、「おはよ」と言う。シゲは自然に俺の手を取り、さっさと公園を出ようとしたが俺はそれを許さない。
「たつぼん?はよいこ?」
「あれシゲ捨てたのか?」
視線でそちらを指せば、一瞬シゲの顔が吃驚したように凍りつくがいつものへらっとした笑いに変わる。
図星か。
シゲが図星を付かれた時、一瞬表情が固まってにこりと笑う癖がある。俺はそんなの、当の昔に気づいていた。
「最悪……」
「俺何もゆってへんやんか」
「お前の事はお見通しだっ!」
眉間の皺ができた。
もしかして自分もこういう風に捨てられたら如何し様。既製品だし、ちっちゃいし、手作りじゃないし。
「阿呆。別嬪が台無しやで」
びしっと眉間を突かれ、とっさに手でそこを押さえる。別に痛いわけじゃないけど、手がそこに行ってしまう。

「俺が欲しいのは、別のもんやから。それ以外のもんなんて、俺には何の価値もない。必要ないんや」

なんか、急に怖くなった。
もし、俺が渡すチョコがシゲにとって必要のない価値のないものだったら如何し様。あの沢山のチョコのようにゴミ箱に捨てられるんだろうか。

「たつぼんはそないな事気にせんでええの。俺はたつぼん捨てるようなことはせん」

この男は平気で嘘をつくのを知っている。
だから、俺はまだ、素直にこの男の言葉を信じることができません。
けれど彼の言葉に俺はいつの間にか頷いていて、手を引かれるがままに公園を出た。




ギャグがいつの間にかシリアス路線に!人は得意分野に流れてしまうものなのでしょうか。
たつぼんへん、二話です。ていうか、私のパソコンも携帯もそうなんですが、小説柄エロ系のものを変換に入れてるんですよ。がから、「たつぼん」が「勃つ梵」になってしまうわけですよ。
梵ってのは、KYOに出てくる素敵おじ様攻めです。いやー、卑猥だわ。
最後のシゲさんの台詞ですが京都弁だと、「〜俺はたつぼん捨てるようなことはせん」が「〜俺はたつぼんほかすような事はせん」となるんですよ。「ほかす」ってなんか萌えだな…。萌えませんか?萌えませんか……。

一話の不破君サイド感想。
え、なんかかっこいい…!
可愛いけどかっこいい!前半は可愛いんですよ。かっこいいのは「・・・・・・いや、豆大福が好きだ。二つ、別に包んでくれ」で、もう、え、不和君なにかっこよくなっちゃってんの?みたいな。
あ、キャプが優しくてへたれてるから、不和君がかっこいいのかしら。(美塚に殺される/爆)
ごめんね、私の水野がこんなんでごめんね…!(爆)と、今回で「ただの乙女じゃないんだ俺は 〜涙は飾りじゃねぇんだよ!〜」をテーマに(いのうえようすいか)

Date: 2005/05/13   真冬