ちろるちょこ♥大作戦! ―――Missions1 side:水野竜也
あの後、屋上に俺は残った。何故だ、と不思議そうにする不破をなんとか、言いくるめ、教室に帰すとチャイムが鳴るのを待つ。金曜日の五時間目は何時もシゲがここに来て授業をサボるのを知ってる。
バレンタインの事を唐突に思い、不破に相談を持ちかけ実行すると言ってしまえば後には引けない。ついでにメールをするとも言ってしまったし…。
初めての御使い、ではなく、初めてのお誘い。
扉の前で、体育座りをして膝に顔を埋める。恥ずかしい、どうしよう。そんな事を考えながら、どう誘おうか悩む。
あ、誘うとは、別に疾しい事ではなく明日、デートに誘うという意味で。
何時もはシゲが誘ってくれるんだけど…、今回はそうも行かないだろうし、ていうか……、ていうか恥ずかしいんだけど、言っちゃったし、誘わないと多分別の用事作ってどっか行きそうな気がするような、する気がするような………?あー何言ってんだか解らなくなってきた。
突然後ろの扉が俺の背中を押して、俺はそのまま、バランスを崩し前につんのめる。
「ぅぎゃっ!」
「え? あ、たつぼーん!」
扉の隙間から覗いたのは、派手だけど、見なれてしまった金髪に、にへらと緩みきった笑顔。佐藤成樹。
俺の……、か、…れし。
そのまま扉の前で四つん這いになっている訳にも行かず、退けて扉の隣に腰を下ろす。すると、当たり前のようにシゲが隣に座った。俺は少しだけ距離を置いて、熱くなる顔を背ける。
この状態でどう誘えばいいのか、才色兼備、頭脳明細な俺にも解らない。何時も誘ってくれるのはシゲで、俺は誘うよりかは、誘われる受身だし。
「なあ、たつぼん。明日デートせえへん?」
「へ……」
「ほらぁ、明日バレンタインやろ?二人でにゃんにゃんしたいやんかぁ」
「にゃ、にゃんにゃん……」
意外にもあっさり、明日の予定が決まった。
けれど、シゲは「バレンタイン」というだけで直接「チョコ欲しい」とは言わなかった。期待されてないんだろうか。
自室で片手で濡れた髪の毛を拭きながら、不破に携帯メールを打つ。屋上で言っていた、詳細を送っているのだ。自分にも言い聞かせるようにして、明日の計画を立て、それを不破に送った。
髪の毛を拭いたタオルを風呂場に持って行き、リビングで寛いでいるホームズの頭をなでる。
「あした、大丈夫かな……」
ホームズはあうっと吼えると、目を瞑った。このまま邪魔したら可哀相かなと思いつつ、おやすみと声をかけ部屋に戻った。目覚ましをセットして、そのままベッドに入る。
「(無事に済みますように……)」
心の底から祈り乍、スタンドの電気を消して、そのまま目を瞑る。
タイトル:ちろるちょこ★大作戦
:本文:
好きな人にチロルチョコを渡すための、作戦である。
ミッション1:見つからず、チロルチョコを買う。(見つかれば計画遂行不可能)
すっかり準備は整った。シゲが好き、と言ってくれた香水もつけたし、服も何処も汚れていない。必要な物は全部リュックに詰めたし。時間は早いくらいで、丁度いい。確認して、リュックを背負うと、絡みつくホームズを引き離しそのまま家を出た。
近くのコンビニで、チロルチョコを買わなければいけない。しかもそれをシゲに見つかったら、意味が無い。全てが台無しという、とっても重要な任務だ。
緊張する。試合よりも、こっちの方が緊張してしまう。たかがチロルチョコ、そうだ、お菓子を買うだけじゃないかと自分に言い聞かせて、いざコンビニに出陣。
ぴぽぴぽーん♪ いらっしゃいませー。
店員と少し目が合ってびくっとする。駄目だ!普通に行動しないと万引き犯に勘違いされる!
幸いな事に店内には俺を知るような、俺が知っている人が居ない。
俺はそのまま、店内を歩き、アクエリアスを手に取りおかしコーナーに行くと、箱に色んなチロルチョコが沢山入っている。色々悩みながら、苺のチロルチョコを一つ取り、アクエリアスと一緒に買う。コンビニを出ると、体中の力がぬけるように、ふーと息を吐いた。
良かった、無事買えた。なんだ、無駄に気構えして損した。
時間を確認するとまだまだ余裕がある。ゆっくり歩いても待ち合わせ場所につくのは早いだろうと思う。
うっかり満面の笑みを浮かべつつ、アクエリアスとチョコをリュックに仕舞いコンビニの袋をゴミ箱に捨て、待ち合わせ場所へと行く道を歩いた。
「(不破買えたかな……)」
不安を浮かべつつも、今携帯で連絡を取ったらお邪魔かもしれない、と思いつつ不破の行動が心に引っかかる。
「(でも、不破だしな)」
あの性格だ。きっと、淡々と買う事ができるだろうと自分に言い聞かせ頷く。
きっと、大丈夫だ。
真冬です。初笛小説。今までは妄想で充分でしたので(爆)
いいんですか、こんなんでいいんですか。にゃんにゃんとかいいんですか。放送禁止とかじゃないんですか。(混乱
水野君奮闘記。なんだか可愛いネーミングだ(笑)
次は不破君サイド。キャプ不破は私は壊しまくっているので(面白い意味で)、美塚、視姦するように見てます。(怖いよ)
Date: 2005/05/05 真冬